『すべての神様の十月』 小路幸也(PHP

 

 あなたの周りの神様

 

 時々、「こういうことを伝えるために神様はこの人に出会わせたのだなあ」と感じることがあります。

 この物語の神様たちは人間の生活の中に溶け込んで隣人として住んでいるような存在。それぞれ死神、貧乏神、道祖神、福の神など役割をもって人間の人生に関わってくる。

 どの神様たちも実は人間を救うために存在している。死神はただ人間が死んだことを目で確認して「死」を完成させるためにやってくる。貧乏神はあまりの強運に身を滅ぼしそうな人に平凡だけど幸せな人生を歩んでいけるように関わる。疫病神は忙しいお母さんたちの目を子どもに向けさせるために子どもに病を与える。

 長く人間と共に生活するうちに人間臭くなった神様たちのやさしさや行動がほほえましい。

 中でも、自分が不幸な目に遭うほど周りの人は幸せになっていく人生に絶望してしまう彼女が実は・・・というお話が心に残った。

 あなたの周りのちょっと不思議な人、こころ優しい人、意地悪な人・・・実はみんな神様の仮の姿なのかもしれません。