『ゆきのなかのりんご』 フェリドゥン・オラル文・絵 (復刊ドットコム)
ゆきのリズム
お話は動物たちが出てくる、冬の森のありそうな内容なのですが、色の感覚(ほぼ茶系一色に雪の白とりんごの赤)が素敵だなと思い、思わず手に取ってしまいました。
冬の空と雪の積もった地面を温かみのある茶色で表現するのは珍しいですし、木々のこげ茶と、うさぎ・ねずみ・きつね・くまの明るさの違う茶色、ほらあなの黒っぽい茶色はどれも同系色なのにそれぞれ主張があります。
そこに絶え間なく降る様々な大きさの雪の白が、絵本の最初から最後まで画面を埋めていて、雪の動きや音まで感じられます。
そしてアクセントのりんごの赤。
色のリズムが、何気ない冬の森の出来事をやさしく包み込んでいて、動物たちがいきいきとして見えます。